わが子の心豊かな未来を願う、家族の思いが詰まったランドセル。選んだきっかけや、こどもたちに寄せる思いとは……。ランドセルとご家族の数だけ、あたたかな思いがありました


INTERVIEW:前田さんご一家(2020年1月取材)

福岡市の中心部から車で40分ほど。海と山に囲まれた糸島市に、前田さんご一家の営む「アダンソニア」という小さな料理店があります。お姉ちゃんの日和ちゃんと弟の環くんは、この春6年生と3年生に。小柄な二人の背中に寄り添うのは、クラリーノのランドセルです。

こどものうちは“こども”を楽しんで。
時間をかけて、ゆっくりのんびりと。

アダンソニアの料理は、糸島で採れた食材を中心につくられます。調理人の個性が光るアレンジを重ねた料理とは別の、食材を主役に据えた料理。キッチンに立つお父さんの達也さんは、食材をかわいがり、対話するようにおいしさを引き出していきます。お客さまにゆっくりと過ごしてほしいからと、一度に店内へ迎え入れるお客さまは10人ほど。年月を感じる柱やハリ、あたたかな白壁、そして、陽の光がたっぷりと差し込む店内には、ゆったりとした時間が流れています。

お店を開けるのは、ランチタイムのみ。そこには、達也さんとお母さんのゆかりさんの家族への思いがあります。「以前はディナー営業もしていました。でも、夜中まで働いて、朝もバタバタ。こどもたちと気持ちよく向き合うことができませんでした」。よくないとはわかっていても、イライラした気持ちが言葉ににじんでしまう。「忙しくてこどもと一緒にいられないなら、仕事をやめてもいいかな」。ある時、達也さんはゆかりさんにそう言いました。

大切にしたいのは“家族みんなで生活していくこと”で、お店を営むのは家族との生活のため。だったら、4人が食べていける分だけ稼げればいい。夫婦でそう決めて、ランチだけの営業にしたのだと言います。「こどもたちが学校にいるうちに、翌日の仕込みまで終わらせます。お店と自宅が同じなので、帰ってくるときには彼らを受け入れる体制を整えて。私たちがバタバタしていると、話しかけづらくなっちゃうじゃないですか」。学校のこと、友達のこと。今は話すことを楽しんでくれているけれど、年ごろになれば話してくれなくなるかもしれない。だから今のうちにたくさん聞いておきたいんです、とゆかりさんは笑みをこぼします。

日和ちゃんが3歳までは店に立つ時間が長くて、こどもにとって“休みの日に家にいる人”だったという達也さん。でも今は、段ボールで工作をしたり、クイズを出し合ったり、宿題を一緒にしたりと、まるで小学校の休み時間のような時間を、こどもたちの“一番の友達”として、毎晩たっぷりと過ごしています。

「こどもといる時間が長くなってから、彼らの目線というか、自分たち大人を俯瞰(ふかん)して見られるようになって。そうしたら、こどもとの関係がすごく楽になりました。例えば『ごはんを早く食べなさい』と怒ってしまうけれど、それは早く片付けたい大人の都合で、『僕が20分待てば、この子は笑って食べられるんだろうな』とか。こどもの気持ちになって二人と向き合うと、大人の事情を押し付けられなくて、お互いに丸く収まることが意外とたくさんあって」。達也さんの言葉に、「うん。待つね、ひたすら待つ」とゆかりさんは相づちを打ちます。

本を読むことや、手を動かすことが好きな日和ちゃん。お母さんのつくる焼き菓子のパッケージのシール貼りを手伝ってくれる、優しい気づかいのできる女の子です。ぷっくりほっぺと、サラサラのおかっぱ頭が愛らしい環くんは、通称「たまちゃん」。チャレンジ精神に満ちていて、跳び箱が飛べるようにと家でも練習をしています。二人が背負っているのは、革より軽い、人工皮革のクラリーノのランドセル。「小学校が遠いのと、体が小柄なので負担を減らしてあげたいなと思って」とゆかりさんはランドセルを選んだ時のことを振り返ります。

色は、日和ちゃんと環くんがそれぞれ決めました。「使うのは本人だから。大きくなってリュックに変えるお友達もいたんですが、『自分で選んだんでしょ』と話したら『うん』と」。6年間を見据えて、最初のコミュニケーションを大事にしたかったと言うゆかりさん。「それでも『ランドセルらしいランドセルを』という私の意見を取り入れたくて、土屋鞄さんに」と口元を緩めます。ランドセルに座ったり、机代わりにして宿題をしたり。「丈夫ですよね。金曜日は体操服に上履き、水筒と持ち帰るものが多くて、お姉ちゃんは手提げバッグも使うんですが、たまちゃんは全部ランドセルに。暑いと脱いだジャンパーも入れるのでパンパンで」と笑います。

「“こども”でいられるのは今しかない。だから、こども時代をまっとうしてほしい」「思いきり遊んで、想像力の広げ方を身につけくれたら」とあうんの呼吸で話す前田さんご夫婦。こどもらしい伸びやかさと、思わずつられて笑ってしまう、屈託のない笑顔の日和ちゃんと環くんを見ていると、「ゆったりのんびり過ごせてよかったって、毎日思う。不安がないわけではないけれど、すごく満たされています」というお二人の言葉が、すっと心に入ってきました。

前田達也さん、ゆかりさん、日和ちゃん、環くん

アダンソニアは、海辺にたたずむ料理と焼き菓子のお店。料理は達也さん、お菓子はゆかりさんの手づくり。素材のおいしさを生かしたメニューに舌鼓を打とうと、遠路はるばる東京や北海道からもお客さまがやってきます。

[アダンソニアホームページ]https://adansonia.shopinfo.jp/