わが子の心豊かな未来を願う、家族の思いが詰まったランドセル。選んだきっかけや、こどもたちに寄せる思いとは……。ランドセルとご家族の数だけ、あたたかな思いがありました。
こどもたちといつも同じ目線で
INTERVIEW:荒木さんご一家(2022年6月取材)
東京駅から電車で30分ほど。中央線沿線の閑静な住宅街に、荒木さんご一家は暮らしています。ご家族が住んでいるのは、建築家である父親の潤二さんが設計した一軒家。大きな一枚板のテーブルが置かれたリビングが、家族全員のお気に入りの場所です。
荒木さんご一家は、父親の潤二さんと、母親の古英(こひで)さん、中学1年生の七生(ななお)くん、小学2年生の二歩(にほ)ちゃんの4人暮らし。1階から2階の天井まで届く大きな本棚や、冬には薪をくべて暖を取る鉄製ストーブなど、ご自宅のそこかしこに潤二さんのこだわりが見受けられます。
中でも2階のリビングは、人が自然と集まってくる場所。「家族団らんの場でもありますが、ここに友人家族を招いて、わいわい食事をするんです。家を建てる時、夫が『居酒屋みたいな空間をつくりたい』と言って。外だと気を使うけれど、ここなら大人もこどもも、みんなで楽しめるから」と古英さん。こどもたちの縁で始まった友人家族とは、この場所で仲を深め、一緒に旅行をしたり、こどもを預け合ったりする間柄になりました。
リビングの主役ともいえる2台の木製テーブルは、長さがそれぞれ2.7mあります。「友人たちとの集まりの時は、洋テーブルに大人がついて、小上がりの和テーブルにこどもたちが座って」。大人の目線と、こどもたちの目線が同じ高さになるようにと、潤二さんが図面を引き、なじみの家具職人さんにつくってもらったものだと教えてくださいました。
子育てについて伺うと、「夫も私も以前は細かく注意しがちだったのですが、コロナ禍をきっかけに、こどもが窮屈な思いをしていることに気づいて。こどもはこどもなりに、学校で一生懸命がんばっている。だからせめてこの家は、彼らにとって一番安心できる場所にしてあげたい」。古英さんは潤二さんと相談して、二人同時には怒らないことにしたとおっしゃいます。
「夫が注意する時は、私がこどもに寄り添えるように。私が怒る時は、夫がこどもの側に立って。こどもたちの逃げ道をこの家のどこかにつくってあげたいと思って。どんな時でも、彼らの気持ちに気づける余白を持っていられたら」と、うなずき合いながら話してくださいました。
「取り立てて丁寧に扱っていたわけではないですが、まだまだ使えそうですよね」。そう言いながら見せてくださったのは、つい春先まで現役だった七生くんの牛革のランドセル。今は、小さな製品に仕立て直すランドセルリメイクを考えているそうです。
二歩ちゃんのランドセルは、牛革の赤×さくら。「こどもには好きな色を選んでほしかった」というご両親の思いから、お店で気になる色を背負い比べ、背あてと内装に好きなピンク色の入ったランドセルに決めました。「お気に入りはどこ?」と聞くと、意外にもフタの手動錠前を指し、「自分でクルッと回して締めるのが気持ちいいから」。小さなころから折り紙が大好きな二歩ちゃんは工作が得意だと言い、「パパの事務所に小さな家(模型)があって。それを見て好きになった」とはにかみます。
明るくて優しい七生くんと、マイペースで慎重な二歩ちゃん。古英さんは、「おっちょこちょいの私が失敗すると、息子が『どんまい』と声をかけてくれて」。そんなふうにこどもの成長を感じたことをきっかけに、同じ目線でいたり、もっと頼ったりしようと考える機会が増えたと言います。
「仕事で疲れた時も、隠さずにだめな自分を見せています。そうすると息子は、『ママもだめな時があるよね』って上から目線で。でもそれで彼が自信を持ち、もっと優しくなってくれたらうれしい」。こどもたちとお互いを認め合えるような関係を築きたい、と話す荒木さんご夫婦。将来はこどもたちやその友だちたちと、リビングで一緒にお酒を飲むのが楽しみなのだと話してくださいました。
荒木潤二さん、古英さん、二歩ちゃん
取材の日、サッカーの試合で不在だった長男の七生くんは、7月生まれで「七生」。二歩ちゃんは、12月生まれの「二」と、七生くんの「生きる」と同じ意味の「歩く」で「二歩」に。母親の古英さんは広告写真などを手掛けるフォトグラファーで、ご自宅の本棚には、二人の愛らしい写真がたくさん飾られていました。
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