ランドセルを
通じて伝えたい
こどもたちへの思い
2023年ご入学用の「アトリエ」シリーズから、土屋鞄と一緒にランドセルを届けてきた「ミナ ペルホネン」。デザイナーの皆川明さんと田中景子さんに、絵に込めたこどもたちへの思いをお話いただきました。
(写真右:designer / founder 皆川明さん 左:designer / CEO 田中景子さん)
─ ランドセルの絵柄を手がけるにあたり、あらためて思いを聞かせてください。
皆川:ランドセルは、こどもたちの心と体が大きく成長していく、貴重な時期に寄り添う “特別な鞄” ですよね。そんな鞄を一緒につくれるのはとてもうれしくて、僕も田中も喜んで描かせていただきました
皆川:2023年ご入学用のランドセルで初めてコラボレーションした際、こどもたちの自由な空想が入り込める “余白のある絵” を描くことを大事にしたい、とお伝えしました。勉強して知識をつけることはもちろん、目の前の景色から空想を膨らませることも、心の成長に必要なんだよと。
数年たった今も、その思いは変わりません。社会が多様化していく中で、他者の体験や考えを自分事として想像することはより大切になり、それはきっと人への思いやりにつながっていくのではないでしょうか。
─ その思いは、絵の中にどのように表現されているのでしょうか。
皆川:小学校という環境において、“共に学ぶ” ということや “自分を発見する” という体験を重ねてもらえるよう、風景の広がりやモチーフの独創性を大切にしています。他者を想像する力や、環境の中で自分を活かす生き方を絵の中で表現できたらと。
田中:朝一番に学校でランドセルを開けるとき、こどもたちはどんな気持ちなのだろうと想像します。さまざまな感情を自分の心で感じて、考えてもらえるような、表現を目指しています。そんな思いを込めた絵が、土屋鞄の職人の手によって、ランドセルになり、こどもたちへ届く──。実際に軽井澤工房で、職人がランドセルをつくる様子を拝見しましたが、多くの工程の一つひとつにきめ細やかな配慮がありました。自分のこどもを思うように、丁寧に手がけている姿が印象的でした。
─ ランドセルは6年間という月日をともにしますが、皆川さんご自身が、長く使うものを選ぶ際に大切にされていることはありますか
皆川:素材やデザインの佇まいに愛着を持ち、使うたびに喜びがあるものを選ぶようにしています。メンテナンスをしながら長く使い続けて、いつか誰かに引き継げたらよいですよね。
─ それは、ランドセルにも通じることですね。では最後に、これから選ぶこどもたちや、今背負っている小学生にメッセージをお願いします。
皆川:自分の心で感じて考えることを、ぜひ大切にしてほしいと思います。
これからランドセルを使う長い月日の中で、好きなことを見つけたり、個性を輝かせたり。そうして誰もが自由に自分らしく生きられるんだという感覚を養うことができたら、この先きっと、心豊かな未来が待っていると信じています。
田中:娘が、コラボレーション初年度のランドセルを背負っていて、楽しそうに登校しています。こどもたちには、たくさんのお友だちと出会い、それぞれが考えていることを話す中で、いろいろな発見をしてほしいです。ドキドキすることもワクワクすることもあると思いますが、たくさんの大人が見守っているので、安心して冒険に出てもらえたらなと思います。
minä perhonen(ミナ ペルホネン)
自然の情景や社会の眼差しから想像を広げ、丁寧につくり進めたテキスタイルデザインを特徴とする。衣服に始まり、インテリアとデザインへの幅を広げながら、日々のための長く続くものづくりを目指している。ブランド名はフィンランド語で「minä」は「私」、「perhonen」は「ちょうちょ」を意味し、蝶の羽のように美しいデザインが無数に広がり、羽ばたいていってほしいという願いが込められている。