わが子の心豊かな未来を願う、家族の思いが詰まったランドセル。選んだきっかけや、こどもたちに寄せる思いとは……。ランドセルとご家族の数だけ、あたたかな思いがありました。
「ずっと持ち続けたい」と思えるものを
INTERVIEW:若野さんご一家(2019年1月取材)
お家のドアを開けると、そこかしこに木彫りの作品が広がっている若野(もしの)家。木工作家の忍さん、由佳さんのもとでのびのび育つ光杜(みと)くんは、牛革プレミアムカラー 緑のランドセルと学校に通う1年生です。自然豊かな埼玉県飯能市で暮らすご一家に、お話を伺いました。
物語が膨らむ暮らしを大切に
全国で展示販売をしながら木工ユニット「KIYATA」として活躍する若野さんご夫妻。木彫りの作品に登場する動物の表情はどれもあたたかく、展示会はいつも大人気です。そんな若野さんたちのものづくりのこだわりは、つくり勝手から入らないこと。 「つくり勝手を優先すると、大体同じ形になってしまいます。うちの製品は、“お客さまの家に入ってから物語が膨らむ”というところを1番の魅力にしたいと思っていて。だから、みんなで“えーっ”て言いながらもまずは思いついたものをつくってみる。それを現実に合わせていく。その繰り返しです」。一つひとつ異なる表情の作品たちは、そんなこだわりから生まれていました。
何か買うときも、物語のある、背景への想像が膨らむようなものを選びたいと語る由佳さん。これは何をイメージしてつくられたのかな、どういう気持ちでつくったのかな、と考えをめぐらせるといいます。ランドセルを選んだ時のことを伺うと、ご自身がお祖父さまに贈ってもらったランドセルの話を聞かせてくれました。「6年生になっても私のだけへたれなくて。当時は型崩れしないのが人と違うので恥ずかしかったんですが、今は本当に質の高いものを選んでくれたんだなと感謝しています。私もこどもに良いものを贈りたいと思って、自分たちの思いを乗せられる、ずっと持っていたいと思えるものを選びました」。
このランドセルを使ったという体験は、大きくなってからより効いてくると思う、とも由佳さんは言います。「私が親になってやっと思い出したように、彼もまた、親になったタイミングで自分の使っていたランドセルの良さに気づくと思います。そんな、いつか思い出してうれしくなることを積み重ねていくのが、私たちにできることかなと。帰って来るたびに放り投げているのを見ると、すごいもの背負ってるんだぜ、と内心では思いますけどね」とほほ笑む由佳さん。
「また、作家としての目線で見ると細部の工夫やこだわりにも共感します。妥協しようと思えばできるけれど、しない。そういうところが、他の製品との違いを生むと思うんです。孫にも贈りたいから、今のままつくり続けてほしいですね」とも語ってくださいました。
光あふれる森の中に分け入っていくと子どもがいた、というイメージから名付けられた「光杜」くん。自然豊かな飯能で、たくさんの作品に囲まれながら暮らす光杜君はとても優しい男の子です。冷蔵庫には、「かなしくなったらよんでね」と書かれたお手紙が貼ってありました。 「やりたいことを自分でつかみ取る子になってほしいですね。自分たちも好きに生きていますし、どんなに非現実的なことでもなんとか応援したいです」と忍さん。心強いエールとともに、光杜くんがどんな道に進んで行くのか私たちも楽しみです。
若野忍さん、由佳さん、光杜(みと)くん
軽井澤工房店で職人のつくる風景を見ながら、「本当にあの人たちがつくっているんだ! 」と楽しんでくれたという若野さんご一家。光杜くんが初めて背負ってみた時の、お兄さんになったような誇らしげな表情が印象的だったそうです。
[arts & crafts KIYATA] http://www.kiyata.net/