色選びの新しいかたち
新シリーズ「RECO」

色選びの自由をもっと広げて、自分らしくいられる色と毎日を過ごしてほしい。
そんな思いから、性別の枠にとらわれないモダンなベーシックカラーを目指して誕生した「RECO(レコ)」。このシリーズを手掛けたデザイナーの田尻に、色とデザインに込めた思いを聞きました。

色への思い

こどもたち一人ひとりの豊かな個性に寄り添える、新しいランドセルの形を提案していきたい。そんな気持ちを出発点に、色にこだわりを込めてつくったのが「RECO」シリーズです。今はランドセルにたくさんの色があって、土屋鞄では男女で色を分けることもしていません。ただ色を選ぶ際に、「男の子は黒、女の子は赤」という昔からの名残のようなものは、今もあるように感じていて。大人だったら色に縛られずに鞄を選べるのに、なぜだろうと。

大好きな戦隊ヒーローと同じ、かっこいい赤色を背負いたい男の子がいたり。憧れの大人の女性のように、クールな黒色を選びたい女の子がいたり。今の時代、そういう自由な選択は、ごくごく自然な姿ではないかなと思います。「RECO」というシリーズ名は、「認める」の意味を持つ”recognize”をベースにした造語。自分が一番好きな色を選ベることは、その子の個性を「認める」ことで、それは「その子らしさ」を育むきっかけにもなる。「RECO」には、実はそんな思いも込めています。

「では、性別を問わない色ってどんな色だろう」と考えた時に、まずは定番色で人気の黒・紺・茶・赤の4色をベースに考え始めました。「男の子の色」「女の子の色」という固定されたイメージを払拭できるように、“かわいくなりすぎない”ことと、“大人でも持てる色”というのは特に意識しましたね。大人向けの洋服の色などをヒントに、どんなこどもの背中にもすっとなじむ、現代的で落ち着いた色味を探っていきました。

そうしてできたのが、グレーも加えたベーシックな5色。「どの色を選んでも、すてきだよね」と感じていただける色の提案ができていたら、とてもうれしいですね。

デザインのこだわり

デザインについては、従来のモデルよりもさらにシンプルに仕上げることで、「色」自体をフラットな目線で捉えられるモデルを目指しました。そのため、あまり装飾性を持たせない、すっきりとした全体のデザインに加えて、背あても同系色で統一。ワントーンのシンプルな仕立てが、より色の魅力を引き出してくれるのではと考えました。

また、今のこどもたちは多くのモノに囲まれて育ち、直感的によいと感じるデザインも変わってきているはずです。けれども、ランドセルのデザインというのは、昔からあまり変化していません。「教科書が濡れたり汚れたりしないように、カブセ(フタ)をして守る」「両手が空くように、背負う形にする」など、機能的で合理的な理由もあるので、そこは大事にして。時間割入れや前ベルトなど、本体になくても機能的に足りるものはそぎ落とし、今の時代らしいスタイリッシュな形を考えていきました。もちろん、収納力や背負いやすさも考慮しています。

一見分かりづらいかもしれませんが、職人と一緒に試行錯誤を重ねたのは、カブセの部分ですね。スマートな表情に仕上げたいけど、痩せた印象にはしたくない。そこで直線的なラインの盛りを施して、デザイン的にも印象付けられる要素を加えました。細部まできちんとデザインしていながらも、やりすぎて見えないシンプルさ。その絶妙なバランスを考えるのはいつも難しいのですが、それがデザインをする面白さでもあります。

自由な色選びと、飾りすぎないデザインが「RECO」の魅力。自分の「好き」に気付けたり、好きなものにもっとまっすぐになれたり。すくすくと育っていくこどもたちに、「RECO」がそんなふうに寄り添えたらうれしいなと思います。

デザイナー・田尻

ランドセル職人を経て、現職へ。長く愛用できる製品づくりを目指して、仕様もデザインも細部まで追求することを大切にしている。毎年、色とりどりのランドセルを前に、こどもたちが目を輝かせる瞬間に立ち会えるのが、幸せなひととき。