6年間の思い出を携え、これからの相棒に
こどもの成長を、ずっとそばで見守ってきたランドセル。親子で思い入れのあるその鞄を卒業後にリメイクされたのは、勝原さんご家族です。リメイクを選ばれた理由や忘れられない思い出について、お母さまにお話を伺いました。
勝原さんご家族
ランドセルを愛用していた希(まれ)くんは、中学1年生(取材当時)。4歳年下の弟とは、ときどきけんかもするけれど、とても優しく穏やか。ランドセルにはカバーをかけて、卒業まで大切に使っていたそうです。
職人が丹精込めてつくる、
手仕事に惹かれて
曽祖母に買ってもらった、大切なランドセル
幼いころから栗が大好物で、見た目もかわいらしかった息子の希。土屋鞄のランドセルに「マロン」というカラーがあると知り、そのこっくりと落ち着いた雰囲気と、ほかにはない色合いが息子の姿に重なりました。
職人さんが一つひとつ手をかけてつくる実直な背景も決め手になり、息子のランドセルは土屋鞄で選ぼうと決めました。
ランドセルを買ってくれたのは、いまは亡き曽祖母です。息子は「ひいおばあちゃんが買ってくれたランドセルだから、大事にしなくちゃ」と、いつも感じていたようでした。
大切な品だから、信頼できるところに任せたい
ランドセルは6年間使い続けた後もきれいでしっかりしていて、そのまま手放すことは考えられませんでした。
土屋鞄のリメイクはランドセルをつくる職人さんたちが自ら手がけてくれると知り、大切なランドセルだからこそ、引き続き信頼できるところにお任せしたいと強く思いました。
ペンケースとキーチャームのセットを選んだのは、息子の一目惚れです。毎日使える実用性に惹かれたらしく、「早く使いたいなあ」と待ちきれない様子でした。
一方で親の私は、いざ手放すとなると、もうランドセル姿が見られないのだと淋しくなって。ずっと見守ってきたぶん、親の方が思い入れが強いのかもしれませんね。リメイクのために梱包する前には最後だからともう一度背負ってもらい、通学路を歩く後ろ姿をたくさん写真に収めました。
不安も喜びも成長も。
ともに過ごしたランドセル
大きなランドセルと、後ろ姿を見送った日
いまでこそ160cmを超えた息子ですが、ランドセルが届いた当時は小柄で、いろいろなことがおぼつかず不安でいっぱいでした。「友だちってどうやってつくるのかなあ」とぽろりとこぼしたときには、こどもなりにドキドキしているのがわかり、胸が詰まりました。
入学直前の春休みには、ランドセルを背負って小学校まで歩いてみたことも。共働きのため、1年生になる息子に戸締りをお願いし、一人で登校させる必要があったんです。でも、本人だけでは途中で道がわからなくなって。
こっそり後ろから見守っていた、大きなランドセルを背負う不安げな姿を、いまでもはっきり覚えています。
(提供:勝原さんご家族)
ランドセルに刻まれた、親子の成長の記録
すっかり頼もしくなったいまも、ランドセルを背負う写真を見ると、不安を押しのけてがんばってくれていたことを、ついこの間のように思い出します。
「一日だけでいいから、いってらっしゃいと見送ってほしい」と、お願いされたこともありました。年に数回、見送りができる日には、すごくうれしそうに何度も振り返ってくれて。
でも学年が上がるごとに振り返ることも減り、淋しさとほっとする気持ちとが入り混じって……。こどもだけでなく私も成長したのでしょうか。ランドセルを見ていると、いろいろなことが思い出されます。
革の手触りが教えてくれる、
あの日の記憶
親子でたどる、愛着の面影
できあがったリメイク品は「まだかな? そろそろかな?」と、待ちわびていた息子に開封してもらいました。うれしそうな驚きとともに、「ランドセルだ!」と言っていたのが印象的でしたね。
見た目は大人っぽい本革のペンケース。でも触れた感触は、あの日のランドセルのままです。新しいペンケースだけど「新品」とはまた違う、不思議な懐かしさがあります。
「内側の感じは、ランドセルのフタ裏のところだね」 「この縫い目、あったよね」 愛着のあるランドセルの面影をたどりながら、一緒に喜び合いました。
キーチャームに使われている金具は塗装がところどころ落ちていて、それもランドセルの軌跡のようで愛おしいです。
6年間の思い出に、これからの成長が重なって
こうしてリメイクしても違和感なく使い続けられる落ち着いたカラーを選んだのは、正解でした。「やっぱりいい色だね」と、息子も満足そうです。
「中学校に持っていく!」と、翌日からさっそくうれしそうに持ち歩いていました。中学校では野球部に入り、グローブを丁寧に磨いて手入れをしているので、このペンケースとキーチャームもまたここから長く大切に使ってくれたらうれしいですね。
いまはまだ息子にはちょっぴり背伸びのように感じるデザインですが、大きかったランドセルだって、あっという間にぴったりになりました。きっとこれから、このアイテムが似合う大人へと成長していくのだと思うと、それもまた楽しみです。
※こちらのお話に出てくる「マロン」色のランドセルは、現在販売しておりません。